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乳酸の科学|乳酸閾値・乳酸シャトル仮説・疲労の原因ではなくエネルギー源を保土ヶ谷のジムが解説

2026 6/08
トレーニング基礎知識
2026年6月8日

「乳酸が溜まると筋肉が痛くなる」——これは科学的に誤りです。乳酸の真実を解説します。

目次

乳酸は「疲労の原因」ではない:古い誤解の訂正

20世紀の誤解:長い間「乳酸(Lactic Acid)が筋肉に蓄積して酸性化させる→疲労・筋肉痛の原因」とされていた。現代の理解(大幅な修正):①乳酸自体は疲労の直接原因ではない。疲労の原因は「無機リン酸(Pi)の蓄積・カルシウムポンプの機能低下・ATP枯渇」など多因子。②乳酸は「問題の副産物」ではなく「重要なエネルギー基質(燃料)」。③乳酸とDOMS(遅発性筋肉痛)は無関係:乳酸は運動後30〜60分で消えるが、DOMSは翌日〜2日後に発生。乳酸の化学的正確性:生理的pH(7.4付近)では、ほぼ全ての乳酸はラクテート(Lactate)として存在(H⁺を放出した形)。酸性化はH⁺(プロトン)の増加によるが、これはATP加水分解の産物であり、乳酸産生とは別の経路で発生する。「乳酸が筋肉を酸性にする」は化学的にも不正確。

乳酸シャトル仮説(Lactate Shuttle Hypothesis):Brooks 1986

  • 提唱者:George A. Brooks(カリフォルニア大学バークレー校)1986年に提唱し、現在では広く支持される。乳酸は「捨てられる廃棄物」ではなく「エネルギー通貨(currency)」として組織間を輸送される
  • 乳酸シャトルのメカニズム:速筋線維(解糖系優位)→グルコースを解糖→ピルビン酸→ラクテートを産生・放出。放出されたラクテートがMCT(モノカルボン酸トランスポーター)によって:①心臓・肝臓・遅筋線維・脳に輸送。②それらの臓器・組織でラクテート→ピルビン酸→TCA回路(クレブス回路)→ATP産生に利用。③肝臓ではコリ回路(Cori Cycle)を通じてラクテート→グルコースに再変換(糖新生)
  • MCT(モノカルボン酸トランスポーター):MCT1(遅筋・心臓:ラクテートを取り込む方向)・MCT4(速筋:ラクテートを放出する方向)。持久性トレーニングでMCT1が増加→乳酸の代謝・クリアランス能力が向上→同じ強度での乳酸蓄積が減少

乳酸閾値(LT1/LT2)とトレーニングへの応用

乳酸閾値の2段階モデル:LT1(第1乳酸閾値):血中乳酸が安静時より上昇し始める強度。有酸素代謝の限界ではなく「乳酸産生>クリアランス」となり始める点(2mmol/L付近)。LT2(第2乳酸閾値)/OBLA(4mmol/Lライン):乳酸の急激な蓄積が始まる点。アナエロビック閾値(AT)・最大乳酸安定状態(MLSS)とも呼ばれる。OBLA(Onset of Blood Lactate Accumulation):血中乳酸4mmol/Lを超える強度。LT2≒MLSS:この強度を長時間維持できる最高強度。競技パフォーマンスとLT:ランニング・自転車などの持久系競技での最大酸素摂取量(VO2max)より、LT2(またはMLSS)の方が競技パフォーマンスをよく予測するとされる(Faude et al. 2009)。トレーニングゾーンとの関係:Zone 1-2(低強度有酸素):LT1以下→乳酸のほぼ完全なクリアランス可能(ベースを構築)。Zone 3(閾値域):LT1〜LT2→乳酸が少し蓄積するが安定(危険な範囲ではない)。Zone 4-5(高強度):LT2超→急速に乳酸蓄積→持続時間が制限される。トレーニングによる乳酸閾値の向上:持久性トレーニングによりLT2の強度(ペース)が上昇→同じ心拍数・乳酸値でより速く走れる(筋肉のミトコンドリア密度増加・MCT1増加・脂肪酸利用の向上が主な理由)。保土ヶ谷・和田町のcortisでは、乳酸閾値を意識した科学的なゾーントレーニングをご提供しています。

👉 保土ヶ谷のパーソナルジム完全ガイドはこちら

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