睡眠の質を上げるには、睡眠時間だけでなく、生活リズム、朝と夜の光、運動、入浴、カフェインや飲酒、寝室環境を整えることが重要です。全部を一度に変える必要はありません。まず自分の睡眠を振り返り、改善しやすい項目から始めましょう。
公開日:2026年5月11日 | 更新日:2026年8月17日 | 執筆・監修:日原裕太(NSCA-CPT)
この記事でわかること
- 「睡眠の質」が意味するもの
- 睡眠時間だけでは不十分な理由
- 睡眠の質を上げるために見直したい10項目
- 睡眠を妨げやすい生活習慣
- 朝・日中・夜に分けた実践例
- 睡眠不調が続く場合の考え方
睡眠の質とは何か
「睡眠の質」という言葉は、単に深い睡眠が何分あったかだけを意味するものではありません。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠の量である睡眠時間と、睡眠によって休養がとれたと感じる睡眠休養感の両方を確保する考え方が示されています。
つまり、「8時間寝たから質が高い」「深い睡眠が多ければ十分」と一つの数字だけで判断するのではなく、朝起きたときに休めた感覚があるか、日中に強い眠気がないか、生活に支障なく活動できているかまで含めて考えることが大切です。
必要な睡眠時間には個人差があり、年齢、体調、生活環境、仕事、運動量などによっても変わります。厚生労働省の成人向け推奨事項では、個人差を踏まえながら、成人では6時間以上を一つの目安として必要な睡眠時間を確保する考え方が示されています。
一方、長く寝床にいれば必ず睡眠の質が上がるわけでもありません。自分に必要な睡眠時間以上に寝床で長時間過ごすことで、寝つきの悪さや中途覚醒につながる場合もあります。
睡眠時間と睡眠休養感の両方を見ること。これが、睡眠の質を考える際の基本です。
参考:厚生労働省「睡眠対策」、健康づくりのための睡眠ガイド2023
睡眠の質を上げることが大切な理由
睡眠不足や睡眠の問題が続くと、日中の眠気や疲労だけでなく、注意力や判断力、作業効率などにも影響する可能性があります。また、厚生労働省の睡眠ガイドでは、慢性的な睡眠の問題と生活習慣病などの健康リスクとの関連も整理されています。
ただし、「睡眠の質を上げれば特定の病気を予防できる」と単純に断定することはできません。睡眠は健康を支える一要素であり、食事、運動、ストレス、病気、服薬、生活環境など複数の要因と関係します。
睡眠を評価するときの3つの視点
- 必要な睡眠時間を確保できているか
- 朝、睡眠で休めた感覚があるか
- 日中の眠気や疲労が生活を妨げていないか
特に「長く寝ているのに疲れが取れない」「何週間も寝つけない」「日中に耐え難い眠気がある」といった状態では、生活習慣だけでなく睡眠障害や他の病気が関係している可能性もあります。改善がみられない場合は、自己判断だけで長期間対処せず、医療機関や専門家へ相談してください。
睡眠の質を上げる方法10選
1.自分に必要な睡眠時間を確保する
睡眠の質を考える前提として、まず不足している睡眠時間を確保する必要があります。短い睡眠を続けながら、寝室やサプリメントだけで睡眠を改善しようとしても限界があります。
成人では6時間以上が一つの目安として示されていますが、これは「誰でも6時間で十分」という意味ではありません。日中の眠気や睡眠休養感を確認しながら、自分に必要な時間を探しましょう。
休日に極端に長く寝ないとつらい場合は、平日の睡眠不足が蓄積している可能性があります。休日だけ大幅に起床時刻を遅らせるより、平日の睡眠時間そのものを見直すことが基本です。
2.就寝・起床リズムをできる範囲で規則的にする
睡眠は体内時計と密接に関係しています。毎日の就寝・起床時刻が大きく変動すると、光を浴びる時間や食事、活動のリズムもずれやすくなります。
毎日1分単位で同じ時刻にする必要はありません。仕事や家庭の事情を考慮しながら、平日と休日で極端に生活時間が変わらないよう整えることが実践的です。
「今日は寝不足だから休日に半日寝よう」と繰り返すより、まず普段の就床時刻を少し早められないか、夜の仕事やスマートフォンの時間を短縮できないかを検討しましょう。
3.起床後から午前中に自然光を取り入れる
朝の光は、体内時計の時刻を調整する重要な刺激です。寝つきが遅く朝起きづらい人は、起床後にカーテンを開け、午前中に明るい環境で過ごすことを意識するとよいでしょう。
「起床後30分以内に何ルクスを何分浴びれば必ず改善する」といった一律の数値にこだわる必要はありません。天候、季節、住環境、光に対する体質にも個人差があります。
日光や強い光を避けるよう医師から指示されている疾患がある場合は、自己判断で光を増やさず、医療者の指示を優先してください。
4.夜は強い光や画面の明るさを抑える
朝の光とは反対に、夕方から深夜の強い光は体内時計を遅らせる方向に作用します。スマートフォンだけを悪者にするのではなく、テレビ、タブレット、パソコン、白色系の照明など、夜間に目へ入る光全体を考えることがポイントです。
就寝前は、画面の輝度を下げる、使用時間を短くする、部屋の照明を少し暗めにする、暖色系の照明を使うなど、無理なく続けられる方法を試してみましょう。
ブルーライト対策機能を使ったから何時間スマートフォンを見ても問題ない、というわけではありません。光だけでなく、SNSや仕事、動画による心理的な覚醒も寝つきに影響し得ます。
5.入浴は就寝前の時間と体調を考えて行う
入浴は身体を温め、入浴後の体温変化を利用することで、寝つきに役立つ可能性があります。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、一例として約40℃の湯に10〜15分程度入り、就寝1〜2時間前に入浴する方法が紹介されています。
ただし、40℃・15分を全員に推奨するものではありません。高齢者、心血管疾患がある人、血圧に不安がある人、暑さに弱い人などは、湯温や入浴時間について個別の配慮が必要です。
熱い湯で長時間我慢する必要はありません。入浴後も火照りが長く残る場合は、湯温や時間を調整しましょう。
入浴とサウナは身体への負荷も異なります。サウナを利用する人は、睡眠だけを目的に無理な高温・長時間利用をせず、サウナの入り方と身体への負担を整理した解説も参考にしてください。
6.日中に無理のない運動を習慣化する
運動習慣は、寝つきや睡眠休養感と関係します。大切なのは「1回だけ激しく運動する」ことではなく、体力や体調に合わせて継続することです。
ウォーキング、室内運動、筋力トレーニングなど、継続しやすい運動から始めましょう。運動習慣がない人が突然長時間の運動を始める必要はありません。まず短時間から始め、慣れてから強度や時間を調整する方法が現実的です。
トレーニングの根拠を詳しく確認したい場合は、筋トレに関する論文・科学的知見のまとめも参考にしてください。持久系運動を行う人は、マラソンと筋力トレーニングの組み合わせ方も関連情報として確認できます。
就寝直前の強い運動は身体を覚醒させる場合があります。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、強度のある運動は就寝の2〜4時間前までに行う考え方が紹介されています。ただし、運動強度や体質によって反応は異なります。
7.夕方以降のカフェインを見直す
カフェインには覚醒作用があり、摂取量やタイミングによっては寝つき、中途覚醒、睡眠時間などへ影響する可能性があります。
厚生労働省の睡眠ガイド2023では、成人のカフェイン摂取について1日400mgを超えないこと、良質な睡眠の観点から夕方以降はカフェインを控えめにすることが示されています。
一方で、カフェインの代謝速度には大きな個人差があります。e-ヘルスネットでは、カフェインに敏感な人について就寝5〜6時間前から控える方法も紹介されています。
コーヒーだけでなく、緑茶、紅茶、エナジードリンク、チョコレートなどにもカフェインが含まれる場合があります。夜に眠れない人は「コーヒーを飲んでいないから関係ない」と決めつけず、1日の摂取源を確認しましょう。
妊娠中、高齢者、こどもなどでは、成人一般とはカフェインへの配慮が異なります。
トレーニング目的でカフェインを使う場合は、運動パフォーマンスだけでなく睡眠への影響も考える必要があります。詳しくはカフェイン摂取量とタイミングの解説をご覧ください。
8.寝酒を睡眠対策にしない
アルコールを飲むと、一時的に寝つきやすく感じる人がいます。しかし、睡眠後半の眠りを悪化させたり、中途覚醒を増やしたりする可能性があります。
そのため、「眠れないから酒を飲む」という寝酒を睡眠対策として習慣化することは推奨されません。
飲酒量への反応には個人差があります。アルコールを毎晩睡眠薬の代わりに使用している、量が増えている、自分で減らせないといった場合は、医療機関などへの相談も検討してください。
9.温度・湿度・光・騒音を自分に合わせて調整する
寝室環境も睡眠に関係します。温度、湿度、照明、騒音などを「自分が快適に眠れる状態」へ近づけることが基本です。
従来の記事では「16〜19℃が理想」といった一律の数値を示していましたが、厚生労働省の睡眠ガイドでは、温度や湿度などを季節や個人に合わせて調整することが重要とされています。
住宅性能、寝具、服装、湿度、年齢、体格、季節などによって快適な室温は変わります。特定の温度を全員に当てはめるのではなく、暑さや寒さで目が覚めていないかを確認しましょう。
道路や近隣の騒音、外灯が気になる場合は、遮光カーテン、防音性のあるカーテン、寝床の位置変更なども選択肢です。
10.眠れないときに寝床で長時間粘り続けない
「眠らなければ」と焦るほど、考えごとが増え、かえって覚醒してしまうことがあります。
厚生労働省の睡眠ガイドでは、なかなか眠れないときはいったん寝床を離れ、静かで暗めの安心できる場所で過ごし、眠気が訪れてから寝床へ戻る方法が紹介されています。
寝床で長時間仕事をする、明るいテレビをつけたまま眠るといった環境も見直しましょう。
なお、これは慢性的な不眠症を自己流で治療するための方法ではありません。寝つきの悪さや中途覚醒が長く続き、日中の生活に支障が出ている場合は医療機関へ相談してください。
睡眠の質を上げる10の方法を比較
| 方法 | 主な目的 | 実践例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 睡眠時間 | 睡眠不足を避ける | 平日の就床時刻を見直す | 必要時間には個人差がある |
| 生活リズム | 体内時計を整える | 就寝・起床時刻の大幅な変動を減らす | 交替勤務などでは個別調整が必要 |
| 朝の光 | 睡眠・覚醒リズムを調整する | 起床後にカーテンを開ける | 光を避ける疾患では医師の指示を優先 |
| 夜の光 | 夜間の覚醒刺激を減らす | 画面・照明の明るさを抑える | 画面内容による心理的刺激にも注意 |
| 入浴 | リラックスと体温変化を利用する | 就寝前に無理のない温度で入浴 | 熱すぎる湯・長時間入浴を避ける |
| 運動 | 日中の活動量を確保する | ウォーキングや筋トレを習慣化 | 強すぎる運動や就寝直前を避ける |
| カフェイン | 覚醒作用を夜まで残しにくくする | 夕方以降の摂取を減らす | 代謝速度に個人差が大きい |
| 飲酒 | 睡眠後半の悪化を避ける | 寝酒をしない | 飲酒量にも注意 |
| 寝室環境 | 外的刺激を減らす | 温湿度・光・騒音を調整 | 快適な条件は人によって異なる |
| 寝床での過ごし方 | 寝床での長い覚醒を避ける | 眠れないときはいったん離れる | 不眠が続けば医療機関へ相談 |
睡眠の質を下げやすい習慣
♪ cortisトレーナー監修|筋トレ×食事タイミングを覚える歌
「睡眠の質を上げる科学的な方法10選|深い眠りを手に入れる習慣と環境づくり【2026年版】」で扱ってきた健康習慣とあわせて、cortisトレーナー監修の楽曲も活用できます。筋トレと食事タイミングについて、耳から学べるコンテンツです。
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睡眠環境を整えても、日常の行動で覚醒刺激が重なると眠りにくくなる場合があります。特に次の習慣は、自分の生活と照らし合わせて確認してみましょう。
- 夕方以降もカフェインを多く摂る
- 寝酒を睡眠対策として習慣化する
- 就寝直前まで明るい照明や画面を長時間見る
- 就寝直前に重い食事をする
- 夜遅くに強度の高い運動を行う
- 休日だけ起床時刻を大きく遅らせる
- 夜間の睡眠を妨げるほど長い昼寝をする
- 寝室の暑さ・寒さ・騒音・光を放置する
昼寝自体が悪いわけではありません。短時間の昼寝が日中の眠気対策として役立つ場合もあります。一方、長時間の昼寝や夕方のうたた寝が夜間睡眠へ影響する人もいるため、自分の夜の寝つきとの関係を確認してください。
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睡眠の質を上げるための朝・日中・夜の実践例
10項目を一度に実行しようとすると続きにくくなります。まずは1日の流れに合わせ、数個だけ組み合わせてみましょう。
朝
- 大きく寝坊せず、普段に近い時刻に起きる
- カーテンを開けて自然光を取り入れる
- 前夜の睡眠時間と「休めた感覚」を簡単に記録する
日中
- 座りっぱなしを減らし、可能な範囲で身体を動かす
- ウォーキングや筋力トレーニングなどを継続する
- カフェインを飲む人は量と時刻を確認する
- 長い昼寝で夜の睡眠が乱れていないか確認する
夜
- 夕方以降のカフェインを控えめにする
- 寝酒を睡眠対策にしない
- 就寝前は照明や画面を少し暗くする
- 必要に応じて入浴を就寝前の時間帯へ移す
- 寝室の温度、湿度、光、騒音を確認する
最初の1週間は「改善」より「観察」でもよい
睡眠時間、起床時刻、夕方以降のカフェイン、運動、飲酒、朝の睡眠休養感を簡単に記録すると、自分の睡眠を乱している要因を見つけやすくなります。すべてを完璧に管理する必要はありません。
睡眠の質が上がらないときは病気の可能性にも注意
生活習慣を整えても、睡眠の不調や睡眠休養感の低下が長く続く場合があります。その背景には、不眠症、閉塞性睡眠時無呼吸、むずむず脚症候群などの睡眠障害や、その他の身体・精神的な不調が関係することがあります。
特に、次のような状態が続く場合は、生活習慣だけで解決しようとせず医療機関へ相談してください。
- 寝つけない状態や夜中の覚醒が長期間続く
- 十分寝たつもりでも強い日中眠気が続く
- 仕事中や運転中に眠ってしまいそうになる
- 大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘される
- 睡眠の不調により仕事や日常生活へ支障が出ている
この記事は一般的な健康情報を提供するものであり、個別の診断や治療を目的としたものではありません。
睡眠の質を上げる方法に関するFAQ
Q1.睡眠の質を上げるには何から始めるべきですか?
まず、必要な睡眠時間を確保できているか、生活リズムが大きく乱れていないかを確認してください。そのうえで、朝の光、夕方以降のカフェイン、夜の照明など、変えやすい項目を一つ選ぶ方法がおすすめです。
Q2.何時間寝れば睡眠の質は高くなりますか?
必要な睡眠時間には個人差があります。厚生労働省の成人向け推奨事項では6時間以上が一つの目安ですが、6時間で十分とは限りません。朝の睡眠休養感や日中の眠気も合わせて判断してください。
Q3.寝室は何℃にすればよいですか?
全員に共通する一つの「理想温度」を決めるのは適切ではありません。季節、湿度、寝具、服装、年齢、体調などを考慮し、暑さや寒さで目が覚めない範囲に調整してください。
Q4.横浜・保土ヶ谷周辺で運動や生活習慣について相談できますか?
cortisでは横浜・保土ヶ谷・和田町エリアを中心に、完全個室で体験相談を受け付けています。睡眠そのものを診断・治療する医療機関ではありませんが、運動、食事、日常の活動習慣について整理できます。睡眠障害が疑われる場合は医療機関へご相談ください。
まとめ:睡眠の質を上げるなら、まず生活全体を3つに分けて見直す
睡眠の質を上げるために、高価な寝具や特別な方法から始める必要はありません。まずは次の3方向から確認してみましょう。
- リズム:必要な睡眠時間と規則的な生活を確保する
- 日中:朝の光を取り入れ、適度に身体を動かす
- 夜:カフェイン、飲酒、光、入浴、寝室環境を整える
以前の記事では「起床時刻を固定すれば最も効果が高い」「寝室は18〜20℃が理想」「1〜2週間で多くの人が改善を実感する」といった一律の表現を含んでいました。しかし、睡眠には個人差があり、特定の方法や期間で効果を保証することはできません。
「何時間寝たか」だけではなく、「朝に休めたと感じるか」「日中を無理なく過ごせるか」まで確認することが重要です。
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なお、睡眠の不調、強い日中眠気、睡眠休養感の低下が長く続く場合には、生活習慣だけでなく病気が潜んでいる可能性にも注意し、医療機関や適切な専門家へ相談してください。
参考にした一次情報
執筆者情報
日原裕太(NSCA-CPT)
フィットネス・運動・生活習慣に関する情報を、一次情報を確認しながらわかりやすく解説しています。本記事は一般向け情報であり、医療上の診断・治療を代替するものではありません。
著者:日原裕太(NSCA-CPT)
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