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乳酸は疲労物質ではない|乳酸閾値・乳酸シャトルとトレーニング活用を保土ヶ谷のジムが解説

2026 6/23
トレーニング基礎知識
2026年6月8日2026年6月23日

結論から言うと、乳酸は単なる「疲労物質」ではありません。高強度運動で増えるラクテートは、筋肉・心臓・脳・肝臓などで再利用される重要なエネルギー基質であり、運動強度を判断する手がかりにもなります。

筋トレで脚が重くなる、HIITで息が上がる、ランニングでペースが維持しづらくなる。このような現象をすべて「乳酸が溜まったから」とまとめてしまうと、トレーニング設計を誤りやすくなります。横浜・保土ヶ谷・和田町のcortisパーソナルジムでは、乳酸を悪者にするのではなく、RPE、心拍数、フォーム、回復状況を見ながら、続けやすい強度設定へ落とし込むことを大切にしています。

  • 乳酸は、運動中に作られるエネルギー代謝の一部です。
  • 翌日以降の筋肉の違和感を、乳酸だけで説明するのは適切ではありません。
  • 乳酸閾値は、ランニング・HIIT・体組成づくりの強度設定に役立ちます。
  • 血液測定をしなくても、RPE、心拍数、会話のしやすさ、セッション記録で実用的に管理できます。
目次

乳酸とは何か:正確には「ラクテート」として考える

一般には「乳酸」と呼ばれますが、運動生理学では体内のpH環境を考えると、多くはラクテートとして存在します。糖質が分解される過程でピルビン酸が作られ、高い運動強度ではラクテートへの変換が進みます。この過程は、エネルギー産生を続けるために必要なNAD+の再生にも関わります。

つまり、ラクテートは「運動の失敗作」ではありません。高強度運動を続けるために作られ、さらに別の組織で再利用される代謝産物です。乳酸代謝の現代的な整理については、Gladdenによる総説や、Brooksによる乳酸シャトル研究の整理でも詳しく解説されています。

「乳酸が疲労の原因」という説明が不十分な理由

強い運動中に脚が重くなる、出力が落ちる、息が苦しくなる。これらは現場でよく起きます。しかし、そこにはラクテートだけでなく、無機リン酸の蓄積、カリウムやカルシウムの調整、ATPの利用速度、神経系の疲労感、呼吸循環の負担など、複数の要素が関わります。

Brooksの論文では、ラクテートそのものを疲労の単独要因として扱う考え方に疑問が示されています。また、2025年の運動時アシドーシスに関する総説でも、H+やラクテートの上昇は疲労感や運動感覚に関わり得る一方で、疲労の全体像はより複合的だと整理されています。詳しくはCairnsによる総説を参照できます。

トレーニング現場では、「乳酸を出さないようにする」よりも、どの強度で、どのくらいの時間、どの目的で行うかを決めることが重要です。筋力を伸ばしたい日と、心肺機能を刺激したい日と、回復を促したい日では、選ぶべき強度が変わります。

翌日以降の筋肉の違和感は乳酸だけで説明しない

トレーニング翌日や2日後に感じる筋肉の違和感は、DOMSと呼ばれる遅発性の反応として整理されます。これは、特に慣れていない種目、下ろす動作が多い種目、急に量を増やしたトレーニングで起きやすくなります。

古くから「乳酸が残るから翌日つらい」と言われてきましたが、この説明は現在の理解とは合いません。1983年の研究では、乳酸と遅発性の筋肉の違和感は直接結びつかないと報告されています。原著はPubMedの記録で確認できます。近年のDOMS研究については、筋肉だけでなく筋膜・結合組織・神経系も含めた複合的な視点が提示されており、Wilkeらの論文が参考になります。

そのため、翌日以降の違和感を減らしたい場合は、「乳酸を抜く」よりも、初回から量を増やしすぎない、可動域を急に広げすぎない、睡眠と栄養を整える、同じ部位へ高頻度で強い刺激を重ねない、という基本設計が重要です。

乳酸シャトル仮説:乳酸は使い回されるエネルギー

乳酸シャトル仮説は、ラクテートが作られるだけでなく、体内で運ばれ、別の場所で利用されるという考え方です。高強度運動で速筋線維がラクテートを多く作ると、それはMCTと呼ばれる輸送体を介して、遅筋線維、心臓、肝臓、脳などへ移動します。

移動したラクテートは、ピルビン酸に戻され、ミトコンドリアでエネルギー産生に使われたり、肝臓で糖新生に使われたりします。つまり、ラクテートは「捨てるもの」ではなく、体内で再利用される燃料のような役割を持ちます。乳酸シャトルの歴史と応用は、Brooksの2020年論文で体系的に整理されています。

乳酸閾値とは:LT1、LT2、MLSSを実務で使う

乳酸閾値は、運動強度を上げていく中で、血中ラクテートの増え方が変わるポイントを指します。厳密には測定方法によって呼び方や値が変わりますが、ジムやランニング指導では、次のように考えると実用的です。

  • LT1:ラクテートが安静時より上がり始める付近。会話ができる低〜中強度で、基礎体力づくりや回復走に使いやすい強度です。
  • LT2:ラクテートの蓄積が大きくなり、長時間の維持が難しくなり始める付近。テンポ走、閾値走、持久力系の競技力に関わります。
  • MLSS:ラクテートが継続的に上がり続けず、一定時間保てる上限に近い強度として扱われます。
  • OBLA:血中ラクテート4mmol/Lを基準にする古典的な見方です。ただし個人差があるため、すべての人にそのまま当てはめるのは慎重に考える必要があります。

乳酸閾値やMLSSは、持久系トレーニングの強度設定に長く使われてきました。MLSSの定義や測定上の課題については、Płoszczycaらの比較研究が参考になります。

筋トレ・HIIT・ランニング・体組成づくりでの使い方

乳酸の知識は、研究室だけの話ではありません。実際のトレーニングでは、「今日は追い込む日なのか」「フォームを整える日なのか」「回復を優先する日なのか」を決めるために役立ちます。

目的 強度の目安 現場で見るポイント やりすぎを防ぐ考え方
筋力トレーニング メイン種目はRPE6〜8、補助種目はRPE7〜9を目安に調整 フォーム、可動域、バーやダンベルの速度、セット後の呼吸 強いパンプ感だけを目的にせず、休憩時間と総セット数を管理する
HIIT 短時間の高強度と十分な休憩を組み合わせる 心拍数、息の戻り方、次のセットで同じ動作を保てるか 毎回限界まで行わず、週の中で高強度の日を絞る
ランニング 低強度走、テンポ走、インターバルを分ける 会話のしやすさ、ペースの安定、翌日の脚の重さ すべてを閾値走にせず、LT1以下の時間も確保する
体組成づくり 筋トレを軸に、有酸素は目的と回復状況に合わせる 体重、ウエスト、トレーニング記録、睡眠、食事の継続性 消費量を増やすためだけにHIITを重ねず、筋トレの質を落とさない

RPEと心拍数で乳酸閾値を実用的に管理する

一般のジム利用者が毎回血液ラクテートを測る必要はありません。むしろ、RPE、心拍数、会話のしやすさ、フォームの乱れ、翌日のコンディションを記録するほうが、継続的なトレーニング設計には使いやすいことが多いです。

RPEは主観的な強度ですが、心拍数や血中ラクテートと関連する指標として研究されています。Borgスケールと心拍数・血中ラクテートの関係については、Scherrらの研究が参考になります。

  • RPE2〜4:会話がしやすい。ウォームアップ、低強度有酸素、回復目的に向いています。
  • RPE5〜7:会話は短くなるが、一定時間は維持できる。テンポ走や中強度のサーキットに使いやすい強度です。
  • RPE8〜9:かなりきつい。HIIT、短いインターバル、補助種目の仕上げに使います。
  • RPE10:最大努力。頻繁に使うより、評価や一部の短時間刺激に限定するほうが現実的です。

初心者がやりがちな乳酸まわりの誤解

誤解1:脚が焼ける感じが強いほど、良いトレーニング

強い灼熱感やパンプ感は、代謝ストレスの一部ではあります。しかし、それだけでトレーニングの質は判断できません。筋力を伸ばす日であれば、フォーム、負荷、反復回数、休憩時間のほうが重要になることもあります。

誤解2:有酸素は毎回きつく走るほうが良い

ランニングをすべて中〜高強度にすると、疲労感が抜けにくく、フォームも崩れやすくなります。低強度の時間を確保し、そのうえでテンポ走やインターバルを計画的に入れるほうが、長期的には続けやすい設計になります。

誤解3:HIITを毎日やれば体組成づくりが進みやすい

HIITは強い刺激を短時間で入れられますが、疲労も大きくなります。筋トレの質、睡眠、食事、仕事のストレスを含めて考える必要があります。特に脚の筋トレとHIITを近い日に重ねる場合は、総量を調整しましょう。

誤解4:筋肉の違和感がない日は意味がない

翌日以降の違和感は、トレーニングの達成度を示す唯一の指標ではありません。むしろ、毎回強く出る場合は、量や種目選択、休息の入れ方を見直すサインになることがあります。

cortisでの実践:保土ヶ谷・和田町での強度設計

横浜・保土ヶ谷・和田町のcortis横浜和田町本店では、乳酸閾値という言葉を難しい理論のまま終わらせず、実際のメニューに落とし込みます。相鉄線「和田町」駅から徒歩1分、営業時間は9:00〜22:00の完全予約制です。料金や営業時間は2026年6月時点で公式ページを確認しています。来店前にはアクセス・営業時間もご確認ください。

たとえば、体組成づくりが目的の方には、まずフォームを安定させる筋トレを中心にし、必要に応じて短時間の有酸素やインターバルを追加します。ランニングも行っている方には、脚の筋トレ日、低強度走、テンポ走が重なりすぎないように週単位で調整します。

  • 初回は、姿勢、可動域、運動経験、目標、生活リズムを確認します。
  • 筋トレでは、RPEとフォームの安定度を見ながら負荷を決めます。
  • HIITは、目的と回復状況に応じて頻度と時間を調整します。
  • ランニングをする方には、低強度・閾値域・高強度の配分を一緒に整理します。
  • 食事は、極端な制限よりも、たんぱく質、食事回数、外食時の選び方を現実的に整えます。

料金を確認したい方は料金・プランをご覧ください。初めての流れを知りたい方は体験トレーニングの流れ、相談や予約は体験予約・お問い合わせから確認できます。

安全に進めるための注意点

高強度運動は、目的に合えば有効な刺激になります。ただし、睡眠不足、体調不良、めまい、胸部の違和感、強い息苦しさ、既往歴がある場合は、強度を下げるか、必要に応じて医療機関へ相談してください。cortisでの指導は、医療的な診断や治療ではなく、運動と生活習慣を安全側に寄せながら整えるためのサポートです。

また、スマートウォッチの乳酸閾値推定や心拍ゾーンは便利ですが、睡眠、暑さ、カフェイン、緊張、疲労の影響を受けます。数値だけで判断せず、RPE、フォーム、会話のしやすさ、翌日の反応と合わせて見ることが大切です。

よくある質問

乳酸が出るトレーニングは避けたほうがいいですか?

避ける必要はありません。高強度運動ではラクテートが増えますが、それ自体は代謝の一部です。大切なのは、目的に合った頻度・量・休憩時間で行うことです。

筋トレでパンプ感がないと、追い込み不足ですか?

そうとは限りません。高重量でフォームを整える日、可動域を確認する日、補助種目で代謝ストレスを入れる日では、狙いが異なります。パンプ感だけでなく、負荷、回数、フォーム、回復を見ましょう。

ランニングの乳酸閾値はどう使えばいいですか?

すべての走りをきつくするのではなく、低強度走、テンポ走、インターバルを分けるために使います。会話のしやすさ、心拍数、RPE、ペースの安定を記録すると、血液測定をしなくても実用的な目安になります。

HIITは体組成づくりに必要ですか?

必須ではありません。筋トレ、食事、睡眠が土台です。HIITは短時間で強い刺激を入れられますが、疲労も大きいため、週の中で位置づけを決めて行うことが大切です。

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