整体師 日原裕太
Self Care Guide
デスクワークの肩こりを
「肩甲骨」からラクにする。
現役整体師が教える、座ったままできるセルフ整体術。
原因・チェック法・3分ケアを動画で解説します。
- 結論:肩こり改善には「肩甲骨を動かす」ことが有力な方法の一つです。
- 根拠:同じ姿勢で固まった筋肉をほぐし、血流を促すことが重要とされています。
- 今日やること:まずは壁チェック → 3分ストレッチ → 1時間おきの小休憩。
Introduction
はじめに
毎日のデスクワークで「肩こりがひどくて辛い…」と悩んでいませんか?
仕事がはかどらないし、ひどい時は頭痛まで…。
今回は、少しの時間で肩こりが楽になることが期待できる「セルフ整体術」を動画で解説します!隙間時間に実践するだけで、変化を感じやすいですよ。
肩こり重症度チェック
当てはまる項目をタップしてください(0〜6点で診断)
項目をチェックすると診断結果が表示されます
肩こりの3大原因
なぜ揉んでも治らない?「静的負荷」「肩甲骨」「筋持久力」の関係。
可動域セルフチェック
壁を使って30秒で診断。あなたの肩の「固まり度」を数値化。
3つの改善ストレッチ
座ったままOK。現役整体師が動画で教える「肩甲骨はがし」。
Table of Contents
目次
先に受診した方がいい症状(赤旗)
以下の症状がある場合は、単なる肩こりではなく他の病気が隠れている可能性があります。セルフケアの前に医療機関(整形外科など)を受診してください。
- 手や腕に「しびれ」や「明らかな筋力低下」がある
- 安静にしていても痛む、または夜間痛(寝ていても痛い)がある
- 発熱を伴う、または転倒や事故などの外傷後である
- 胸の痛みや息苦しさ、めまい、ろれつが回らない
- 原因不明の体重減少がある
Mechanism
肩こりの原因(3因子モデル)
肩こりがひどい時は、肩甲骨周りの筋肉が固まっていることが多いですが、原因はそれだけではありません。
「同じ姿勢」「肩甲骨の動き」「筋持久力」の3つの要素が絡み合っています。
肩こりを悪化させる3つの因子
-
1 静的負荷(同じ姿勢が長い)
筋肉は動かさないとポンプ作用が働かず、血流が滞ります。デスクワークで長時間固まること自体が最大の負担です。
-
2 猫背・巻き肩(肩甲骨が動かない)
背中が丸まると、肩甲骨が外側に広がり、動きがロックされます。この状態で腕を使うため、首や肩の筋肉(僧帽筋・肩甲挙筋)が常に引っ張られ緊張します。
-
3 筋持久力の低下
運動不足により、頭の重さ(約5kg)を支えるための首や肩の筋持久力が低下し、夕方になると支えきれずに痛みが増します。
・運動(首/肩の強化)でオフィスワーカーの頸部痛が軽減した報告があります。
・エルゴ調整+運動の複合介入が、職場での頸部痛予防に有効とされています。
・ガイドラインでは運動療法や肩甲帯の強化が推奨されています。
ただ揉むだけでは解決しにくい場合があります。「こまめに動かす(血流改善)」+「可動域を広げる(肩甲骨)」+「軽い運動刺激を入れる」の3点セットが、有力な改善策となります。
図1|肩周りの筋肉構造(僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋など)
Self Check
肩甲骨の可動域チェック
肩こりがひどい時は、自覚しにくいですが肩甲骨の動きが悪くなっています。
壁を使って簡単にできる方法で、今の可動域を確認してみましょう。
- かかと・背中・腕を壁にピタッとつけて立ちます。
- 腕を肩の位置まで伸ばし(手のひらは下)、壁から離れないようにゆっくり上げていきます。
- 無理なく上がったところの「角度」を確認してください。
| 角度 | 状態判定 |
|---|---|
| 45度未満 |
重症 筋肉がガチガチに固まっており、動きが悪く肩こりを強く感じやすい状態です。 |
| 45〜60度 |
要注意 肩甲骨周りの筋肉がやや硬く、動きが少し悪くなってきています。 |
| 60度以上 |
正常 肩甲骨は正常に動いています。肩こりを感じる場合は別の原因(ストレートネックなど)の可能性があります。 |
図:腕の角度の目安
効果を高めるための実践ルーティン
今日3分コース(仕事中)
トイレ休憩やコーヒーブレイクのついでに。
- 肩甲骨はがし①:5回
- 座ったままストレッチ:10秒 × 2セット
- 首ストレッチ:左右15秒ずつ
2週間改善プラン
まずは2週間続けてみてください。
- 頻度:平日ほぼ毎日
- タイミング:1時間に1回、20〜60秒の「ちょこっと休憩」を入れる
- 目標:「痛みが出る前に動かす」習慣をつけること
Stretches
動画で解説!ストレッチ方法
01
Scapula Peel
肩甲骨はがし①
- 両肘を曲げて、肩よりも上に上げます。脇を広げ、手は鎖骨の高さに。
- 両肘をゆっくりと後ろに引きます。位置は保ったまま肩甲骨をしっかり寄せます。
- 寄せながら肘を下げ、脱力します。これを5回繰り返します。
02
Sitting Stretch
肩甲骨はがし②(座ったまま)
- 椅子に座り、肘を伸ばして両手を肩の高さで組みます。
- 手を前に伸ばしながら背中を丸め、肩甲骨を開きます。
- 次に、肩甲骨を寄せながら肘を後ろに引きます。
- 前後10〜15秒キープします。
03
Vertical Move
肩甲骨はがし③
- 肘を90度に曲げ、腕を肩の高さまで上げ、顔の前で合わせます。
- 腕を上げたまま、肩甲骨が中央に来るようにゆっくり後ろに引きます。
- 手の甲が頭の上で合わさるように、ゆっくり腕を上げます。
- ゆっくり下げて元の位置に戻ります。
Neck Stretch
簡単首まわりストレッチ
肩甲骨だけでなく、つながっている首の筋肉もほぐすとより効果的です。
肩甲挙筋のストレッチ
- 左腕を下げます。
- 右手で左後頭部を持ち、右斜め前に傾けます。
- 15〜30秒キープ。反対も同様に。
頭板状筋のストレッチ
- 両手で後頭部を持ちます。
- 頭の重さを使って前に傾けます(背中は丸めない)。
- 15〜30秒キープ。
Environment
デスク環境チェックリスト
ストレッチで体をほぐしても、普段の環境が体に負担をかけ続けていては効果が半減します。
正しい姿勢を保つためのデスク環境を確認しましょう。
🖥️ モニターの位置
- 高さ:モニターの上端が目線と同じか、やや下になるように
- 距離:腕を伸ばして指先が画面に触れる程度(約40cm以上)
🪑 椅子と姿勢
- 肘:キーボード操作時に肘が約90度になり、肩がすくまない高さ
- 足:足裏全体が床にしっかりついていること(つかない場合は足置きを利用)
仕事中のマイクロブレイク
60分ごとに20〜60秒の「ちょこっと休憩」を入れましょう
肩すくめ→ストン
3回繰り返す
肩甲骨寄せ
5回繰り返す
目を遠くに
10秒(眼精疲労対策)
FAQ
よくある質問
Summary
まとめ
今回はデスクワークで辛い肩こりを感じている人に向けた、セルフストレッチを解説しました。
肩こり改善には「肩甲骨」をしっかり動かし、血流を促すことが有力な方法の一つです。
今回紹介したストレッチは短時間で取り組めますので、仕事の合間や隙間時間を利用して、ぜひ継続してみてください!
次にやること:
① 壁チェックで今の状態を確認
② 今日3分コースを試す
③ 改善しない場合は専門家に相談
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参考文献・出典
- ・Neck Pain: Revision 2017 (Clinical Practice Guidelines)
https://www.jospt.org/doi/10.2519/jospt.2017.0302 - ・A workplace exercise versus health promotion intervention…
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25306220/ - ・Workplace-Based Interventions for Neck Pain in Office Workers
https://academic.oup.com/ptj/article/98/1/40/4562646 - ・Effectiveness of small daily amounts of progressive resistance training…
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0304395910007013 - ・厚生労働省「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000207439.html - ・日本整形外科学会「肩こり」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/stiff_shoulder.html
痛みが続く場合や、しびれ等の症状がある場合は専門機関を受診してください。
