【進化心理学】脳の中の浮気・不倫

こんにちは!

cortisパーソナルトレーニングジムです。

はじめに

 初めまして、作業療法士の資格を持つHiyatoi.Kです。作業療法士は普段、心身に障害を持っている方々のリハビリをお手伝いしていますが、実のところ、健康な人々にもアドバイスできるくらいの医学的・心理学的知識を持っています。

「SNSで著名人の不倫が発覚してショック!」という経験、ありませんか?

 今回は、最近よく話題の「浮気・不倫」について、脳科学と心理学の両面から読み解いていきたいと思います。

 これを読み終わった後、浮気・不倫をしている人も、していない人も、ご自分を内面から見つめ直すきっかけになれば幸いです。

1章 進化心理学から見る男女の違い

いきなり難しそうなタイトルですが……進化心理学とは、現代人の心理学的メカニズム、つまり「決定や迷いや物事の価値判断については全て、進化の過程で取捨選択されてきた結果である」と考える学問です。

 例えば女性なら、病弱で活気のない人より、逞しくて快活な人の方に好印象を抱きますよね。それは「元気な人の方が、元気な子どもを作りやすいから」という進化上の都合があるためです。

 もちろん「病弱で活気のない人が好き!」という方もいらっしゃいますが、今回は一旦それを忘れて、記事タイトル「浮気・不倫」の内容に移りましょう。

1節 愛はどこからやってくる? 脳が求める男女の関係

 例えばあなたの目の前に魅力的な異性が現れたとして、その人に注目した時、あなたはまず何を見ますか?

 男性はまず体つきを見て魅力を感じます。
 程よい肉付き、大きな胸、安産型のようなお尻……こういった身体的な魅力を感じて、脳が「肉体関係を結びたい」と命令し、男性ホルモン(テストステロン)が大量に分泌され、”愛情”が芽生えるのです。

 対する女性は、体を見るよりも性格や雰囲気に魅力を感じます。成熟していて、優しそうで、将来的にも安定していそうな人、長期的に見て自分を守り導いてくれそうな人に親密さを感じます。
 この時脳の中では、女性ホルモンに特別な動きはありません。女性はどちらかといえば生理周期に合わせてエストロゲン、オキシトシンといった女性ホルモンが分泌されるので、「魅力的→肉体関係を持ちたい」という流れにはなりにくいようです。

 つまり、男性は体で、女性は心で恋愛関係をスタートさせます。

 では、体が複数人との関係を求めた時……脳は何を考えているのでしょうか?

2節 パートナーがいるのに? 浮気・不倫の脳を覗く

「浮気を繰り返す」「不倫がやめられない」そんな話を聞いたことはあるでしょうか? もしかしたら、当事者の方もいらっしゃるかも知れません。
 特定のパートナーと恋人あるいは配偶者の関係を持っているけれど、「つい」「いつの間にか」ずるずると他の人にも愛情を向け、肉体関係まで持ってしまう場合もあるようです。
 そんな時、脳の中では何が起きているのでしょうか?

男性は何よりもまず「種の保存」の原則が脳に刻み込まれています。より多くの人と子どもを作り、自分の遺伝子を残そうという本能です。
 よって、男性にとっての浮気・不倫は、進化心理学上は「肉体関係を持った」ということが重要なポイントになります。

 一方女性では、子どもを作ることより、より安全に産み育てられる環境を確保することを重視します。そのため脳内では、相手が基準に達しているかどうかを精査し、一夜限りの関係よりは、長期的展望を持った親密さを構築することが浮気・不倫のメカニズムのようです。

 つまり浮気・不倫は、男性は「肉体関係」をもつまではセーフ、女性は「心を許すまで/親密になるまで」はセーフ、というボーダーラインがあると考えられます。
 そしてお互いのボーダーラインを知らなければ、男性にとって他人と肉体関係をもつまでは浮気・不倫認定ができず、女性にしてみれば、他人と親密にしているだけで浮気・不倫認定ができると言えます。

※もちろん、以上はあくまで脳と心理学から考えた解釈であり、法廷に持ち込めば民事の判例が適用されるので、本格的に悩んでいる方は法律相談がおすすめです。


2章 恋愛と脳内物質:もし恋愛をしたい相手がいるなら男女の違い

ここからは少しだけ難しい話になります。厳密に言えば、難しい専門用語が出てきます。

 しかし、標題にもある通り、もし意中の相手がいるなら知っておいて損はないテクニックにもなりますので、ご一読あれ!

1節 視覚が先行する男性の

男性は視覚で判断すると1章でお話ししましたが、魅力的な女性を見る時、具体的に脳内では次の部位が働いています。

●    視覚皮質(目で見た情報を処理する)
●    視床下部(性欲と食欲の中枢を司る)
●    扁桃体(物事の好き嫌いを判断する)

 ここから考えられるのは、「好みのビジュアルに寄せていけば、特定の男性に好かれる」という作戦です。
 ビジュアルとは、何も体型だけではありません。服装、髪型、表情など……。意中の相手の好みを知ってそれに合わせていく方法は、いささか古臭いアイデアかもしれませんが、意外と理に適っているものです。

 では、男性が意中の相手を射止めたい場合はどうすれば良いでしょうか?
 女性は恋愛を始める時、次のような脳の部位が機能しています。

●    尾状核(学習・記憶に関わる)
●    腹側被蓋野(尾状核にドーパミンを分泌させる)

 つまり、女性は恋愛中でも相手に関する学習を重ね、相手の言動を記憶し、より良い男性(自分を守ってくれる相手)を求めるための情報を集めているのです。

 視覚中心の男性の脳と違って一筋縄ではいきませんが、もし意中の女性がいるなら、「守ってあげる」という逞しさや男らしさ、優しさをアピールしてみるのはいかがでしょうか。

2節 恋は盲目? 判断が鈍る愛

突然ですが皆さんは「吊り橋効果」をご存知ですか?
 若い男性を揺れる吊り橋の上に立たせ、スタンバイしていた女性に簡単なアンケートと電話番号を渡されると、半分近くの男性が後日、女性に電話をかけたという実験です。

 ここにも恋愛の妙がひとつあります。「揺れる吊り橋の上を渡る」という行為は少なからずその人の心拍数を上昇させ、身を守ろうと脳がフル稼働しますので脳内物質が溢れ出します。この生理的な興奮が勝手に相手の存在と結びつけられ、「今、自分はこの人に恋をしている」と錯覚させるのです。錯誤帰属と呼ばれる反応です。

 例えば、タブーのオフィスラブ。
 例えば、ご近所の所帯持ちと。
 そんな状況だったら、スリリングでのぼせ上がるような浮気・不倫になるのかもしれません。

 他にも、「ロミオとジュリエット効果」という「障害があるほど燃え上がる」仕組みや、恋愛中はドーパミン分泌量が上がり前頭前野(理性的な判断を下す部位)を抑制する働きがあるなど、脳は「種の保存」のためなら盲目的になるのも厭わないようなきらいがあります。

おわりに

ここまでお読み頂きありがとうございました。
 浮気・不倫している人、されている人、様々あるかと思いますが、科学的な視点から見ると「ひょっとしてこれは、脳みそが勘違いしているだけ?」というような状況もよくあるものです。
 今一度、一歩引いた所から冷静に眺めてみてはいかがでしょうか?

 本当にその恋愛は必要なのか。
 相手に何を求め、自分は何を返せるのか。

 もし一歩引くことが難しければ、自分を「知らない他人」に置き換えて見てみましょう
 これは心理学的な方法で「対比心理」と呼ばれ、他人の視点に立つことで、自分を客観視するやり方です。

 人によっては、自分の価値を認めて欲しくて恋愛を求める人もいます。では、その価値を認める方法は、絶対に人由来でなければいけないでしょうか?
 記録をつける、文字に残す、習慣を作る。
 成果を目に見える形にすることで、人は自己肯定感を高めやすいものです。

 何が大事で、何を優先するのか。忙しい現代社会で考えるのは難しいことですが、歩きながら、走りながら、体を動かしながら、ぼんやり考えてみるのも大切なことかもしれません。

<参考文献>
渋谷昌三:面白いほどよくわかる!他人の心理学,西東社,2012.
渋谷昌三:面白いほどよくわかる!恋愛の心理学,西東社,2012.
David G.Myers:カラー版マイヤーズ心理学,西村書店,2015.

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