痩せるための最新栄養学10選【2025年版】|体の炎症を抑える食事と「まごわやさしい」の実践術

人生を変える食事術

人生を変える食事術

現代病を根絶する、栄養科学の最前線

日原 裕太

この記事の著者・監修者:日原 裕太

資格・肩書 cortis代表 / human nutrition / NSCA-CPT
NESTA-PFT / 食品衛生責任者 / サウナ・スパ健康アドバイザー

講師歴 横浜YMCAスポーツ専門学校 非常勤講師 , 神奈川県立座間総合高校 非常勤講師 , 横浜リゾート&スポーツ専門学校 非常勤講師(2018~2023)

第一章:なぜ、私たちは病気になるのか?

現代社会に潜む「新型栄養失調」の罠

現代社会は、飽食の時代と言われながら、多くの人々が「新型栄養失調」に陥っています。カロリーは足りているのに、生命活動に不可欠なビタミンやミネラル、良質な脂質といった微量栄養素が決定的に不足している状態です。その結果、肥満、糖尿病、高血圧、がん、アレルギー、自己免疫疾患といった生活習慣病が、かつてない勢いで蔓延しています。これらの多様な病の根底には、実は共通する一つの原因が隠されています。それが「静かなる炎症(Chronic Inflammation)」です。

私たちの健康を脅かす最大の脅威は、突如として現れる疫病ではなく、体内で静かに燃え広がる「火事」、すなわち慢性炎症なのです。

見えない敵「静かなる炎症」の正体

怪我をした時の赤みや熱といった「急性炎症」とは異なり、この炎症には自覚症状がほとんどありません。しかし、体内で常にくすぶり続ける目に見えない火事は、じわじわと私たちの細胞を傷つけ、遺伝子を狂わせ、動脈硬化を進行させ、万病を引き起こす元凶となっているのです。この「静かな火事」の存在を理解することこそ、真の健康への扉を開く第一歩と言えるでしょう。

現代病の根本的な原因は何ですか?
多くの現代病の根底には、自覚症状がほとんどない「静かなる炎症(Chronic Inflammation)」が共通の原因として存在します。これは体内で静かに燃え広がる火事のようなもので、細胞を傷つけ万病を引き起こす元凶です。

第二章:食事が作る「炎症」と「健康」

体内の「火種」を増やす食べ物、消す食べ物

では、この体内の「火事」の原因は何なのでしょうか?犯人は、驚くべきことに、私たちの毎日の食卓に潜んでいます。精製された砂糖や小麦粉、トランス脂肪酸を多く含む超加工食品、そして過剰なリノール酸を含む植物油などは、体内で炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)の分泌を促進します。言わば、体という家に絶えず放火を繰り返すようなものなのです。

あなたがプレートに乗せる食べ物一つひとつが、炎症の火種を投下する「放火犯」にも、それを鎮火する「消防隊」にもなり得るのです。

一方で、私たちの体にはこの火事を消し止める力も備わっています。その「消防隊」の役割を果たすのが、野菜や果物に含まれるポリフェノールなどの抗酸化物質や、青魚に含まれるオメガ3系脂肪酸といった「抗炎症作用」を持つ栄養素です。食生活を見直すとは、体内で「放火犯」を減らし、「消防隊」を増やすこと。この極めてシンプルな原則を理解し、日々の食事を選択することが、あらゆる病を遠ざける最も確実な戦略なのです。

🔥 炎症を促進する食品(放火犯) 💧 炎症を抑制する食品(消防隊)
  • 砂糖、果糖ブドウ糖液糖
  • トランス脂肪酸(マーガリン等)
  • 精製された炭水化物(白いパン等)
  • 加工肉(ソーセージ、ベーコン)
  • 過剰なアルコール
  • 青魚(オメガ3脂肪酸)
  • 緑黄色野菜(ポリフェノール)
  • ベリー類(アントシアニン)
  • ナッツ類(良質な脂質)
  • 緑茶(カテキン)
体内の炎症を抑えるために最も重要なことは何ですか?
炎症を促進する食品(砂糖、超加工食品など)を減らし、抗炎症作用を持つ食品(青魚、野菜、果物など)を積極的に摂ることです。この食生活の見直しが、体内の「火事」を鎮める最も確実な戦略です。

第三章:体を創る6大栄養素の役割

私たちの体は、食べたもので作られています。ここでは健康という名のオーケストラを奏でる、特に重要な6つの栄養素を、現代栄養学の視点から科学的に解説します。

💪タンパク質

筋肉や臓器、ホルモンの材料。不足すると免疫力や思考力が低下。動物性と植物性をバランス良く摂取することが、しなやかで強い身体の基礎を築きます。

🥑脂質

細胞膜やホルモンの主成分。特にオメガ3は炎症を抑制し、脳機能を高めます。アボカドや青魚など「良質な油」の選択が、体内の潤滑油となります。

🌾炭水化物

主要なエネルギー源ですが、精製されたものは血糖値を乱高下させ、炎症の原因に。玄米や全粒粉、芋類など「複合炭水化物」を選びましょう。

🍊ビタミン

体の調子を整える潤滑油。特に抗酸化ビタミン(A,C,E)は細胞の老化を防ぐ重要な役割を持ちます。カラフルな野菜や果物はビタミンの宝庫です。

🔩ミネラル

骨や歯を作り、神経の伝達を助けます。特にマグネシウムは300以上の酵素反応に不可欠で、現代人が最も不足しがちな栄養素の一つです。

🥦食物繊維

腸内環境を整え、善玉菌のエサとなります。血糖値の上昇を緩やかにする効果もあり、健康な腸内フローラを育む鍵です。水溶性と不溶性があります。

第四章:健康長寿の羅針盤「まごわやさしい」

複雑な栄養学をすべて覚える必要はありません。幸いなことに、日本の伝統的な食事が、既に答えを示してくれています。「まごわやさしい」は、医学博士・吉村裕之氏が提唱する、健康な食生活を送るための魔法の合言葉。これらの食材群を日々の食卓に意識的に取り入れることで、自然と栄養バランスは整い、生活習慣病の予防に繋がります。

豆類

大豆、味噌、納豆など。良質な植物性タンパク質とイソフラボンの宝庫。

ごま・ナッツ類

抗酸化作用のあるセサミンやビタミンE、良質な脂質が豊富。

わかめなど海藻類

現代人に不足しがちなミネラルや食物繊維の供給源。

野菜

ビタミン、ミネラル、ファイトケミカルの塊。色の濃い緑黄色野菜を積極的に。

魚(特に青魚)

炎症を抑えるオメガ3系脂肪酸(DHA・EPA)を豊富に含む。

しいたけなどきのこ類

免疫力を高めるβグルカンや、ビタミンDが豊富。

いも類

エネルギー源となる複合炭水化物と、腸を元気にする食物繊維。

第五章:人生を変える5つの食習慣

知識を具体的な行動に変えてこそ、体は変わります。今日から始められる、科学的根拠に基づいた5つの食習慣を実践し、一生モノの健康を手に入れましょう。

「まごわやさしい」を食卓の基本に

日本の伝統的な健康食材の頭文字。これらの食材をバランス良く摂ることで、必要な栄養素を網羅的に摂取できます。毎食全てを揃える必要はなく、1日、あるいは数日でバランスを取る意識が大切です。

血糖値を制する者が、健康を制す

食事の最初に食物繊維(野菜、きのこ、海藻)を摂る「ベジファースト」を徹底。血糖値の乱高下は血管を傷つけ、老化の原因となる糖化(AGEs)を促進します。食べる順番を意識するだけで、体への負担は大きく変わります。

「静かなる炎症」を鎮める油を選ぶ

現代食で過剰になりがちなサラダ油やマーガリン(オメガ6系)を減らし、アマニ油、えごま油、青魚(オメガ3系)を積極的に。オメガ6とオメガ3の理想的なバランスは4:1以下ですが、現代人は20:1以上とも。このバランス改善が、体内の炎症レベルを劇的に改善します。

腸内環境こそ、全身の司令塔

発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルト)と食物繊維で腸内の善玉菌を育てる「腸活」。免疫細胞の約7割は腸に集中しており、幸せホルモン「セロトニン」の9割以上も腸で作られます。腸の健康は、体の防御力と心の安定に直結します。

加工食品は「栄養の借金」と心得る

手軽さの代償は、食品添加物による内臓(特に肝臓)への負担と、それらを解毒するために消費される貴重なビタミン・ミネラル。加工度が高ければ高いほど、元の食材が持っていた栄養は失われています。食べる頻度を意識的に減らすことが重要です。

第六章:食事はメンタルをも左右する

🧠 腸は「第二の脳」- 腸脳相関の科学

「腸脳相関」という言葉を聞いたことはありますか?これは、腸と脳が自律神経系やホルモン、免疫系などを介して密接に連携し、互いに影響を及し合っていることを示す、近年の医学界で最も注目されている概念の一つです。私たちの気分や思考は、腸内環境に大きく左右されています。例えば、精神の安定に不可欠な神経伝達物質である「セロトニン」は、その9割以上が腸で作られます。腸内環境が悪化するとセロトニンの生産が滞り、漠然とした不安感や気分の落ち込み、さらにはうつ状態を引き起こすことさえあるのです。

あなたの腸は「第二の脳」です。腸内環境を整えることは、脳を最高の状態に保つための最も直接的なアプローチに他なりません。

健康なメンタルを育む食事とは、すなわち「腸が喜ぶ食事」です。発酵食品や食物繊維はもちろん、良質なタンパク質(セロトニンの材料)、ビタミンB群、鉄分、マグネシウムなども、脳の働きを正常に保つために必須です。ジャンクフードがもたらす一時的な高揚感の裏で、長期的に心身が蝕まれていくという事実を、私たちは知っておくべきです。

終章:未来の自分への、最高の投資

私たちの体は、昨日までの食事の集大成です。今日の食事が、明日の活力を作り、10年後、20年後の健康状態を決定づけます。食事を変えることは、単なる健康法やダイエットではありません。それは、自分自身という、何にも代えがたい資本を大切にし、未来の自分へ最高のプレゼントを贈る「究極の自己投資」なのです。

完璧を目指す必要は全くありません。まずは一食、一つの食材からで良いのです。コンビニの菓子パンをナッツに変える。夕食に味噌汁を一杯加える。その小さな一歩が、体内の「静かな火事」を鎮め、心身に活力を取り戻す確実な変化を生み出します。この記事で得た知識を羅針盤に、あなた自身の体と対話しながら、最高の食事術を見つけてください。その一歩が、あなたの人生を、より豊かで輝かしいものに変える絶大な力を持っているのですから。

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日原 裕太

cortis代表 / human nutrition / NSCA-CPT

「人と情報と表現をつなぐ」をテーマに、健康(運動・栄養・心理)・出版・Web・教育・音楽を横断。cortisパーソナルジムの代表として現場と経営の両輪を回しつつ、出版300冊超・SNS導線設計・MEO/SEOまで一貫支援。

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